○見附市障がいを理由とする差別のないだれもが共に暮らせるまちづくり条例

令和7年3月21日

条例第2号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 障がいを理由とする差別の解消(第7条・第8条)

第3章 障がいを理由とする差別に関する相談及び解消のための対応(第9条―第14条)

第4章 共生社会の実現に向けた取組(第15条―第19条)

第5章 雑則(第20条)

附則

私たち一人ひとりは、かけがえのない存在であり、全ての市民は、平等に権利を持っています。多様性が認められ、様々な人が地域で共に生き、活躍できる社会は、全ての市民にとって暮らしやすい豊かな社会です。

しかし、障がいのある人は、障がいや障がいのある人への理解の不足又は偏見から生じる社会的障壁による困りごとを抱え、日々の生活の中で障がいを理由とした不利益な取扱い等の差別を受けていると感じている場合も少なくありません。障がいのある人が日々の生活の中で受ける差別は、心身の機能の障がいのみならず、社会における様々な障壁によって作り出されているのであって、障壁を取り除くことは社会全体の責任です。

見附市では、障がいのあるなしにかかわらず、だれもが互いに人格と個性を尊重し合う「思いやりにつつまれてだれもが安心して暮らせる地域社会の実現」を目指し、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、障害者の権利に関する条約(平成26年条約第1号)、障害者基本法(昭和45年法律第84号)及び障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)の趣旨を踏まえ、見附市(以下「市」という。)における障がいを理由とする差別の解消の実現に関し、基本理念を定め、市の責務、事業者及び市民の役割を明らかにするとともに、障がいを理由とする差別の解消を推進するための基本的な事項を定めることにより、全ての市民が、障がいの有無によって分け隔てられることなく、互いに人格と個性を尊重し合いながら共生する社会(以下「共生社会」という。)の実現に寄与することを目的とします。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによります。

(1) 障がい 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がい及び高次脳機能障がいを含む。)、難病(治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病をいう。)に起因する障がいその他の心身の機能の障がいをいいます。

(2) 障がいのある人 障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者をいいます。

(3) 社会的障壁 障がいのある人にとって、日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいいます。

(4) 不当な差別的取扱い 正当な理由なく、障がい又は障がいに関連する事由を理由として、障がいのある人に対して不利益な取扱いをすることをいいます。

(5) 合理的配慮 障がいのある人が、社会的障壁の除去を必要としていることを認識できる場合において、建設的な対話を行い、実施に伴う負担が過重でないときに、障がいのある人の権利利益を侵害することとならないよう、必要かつ適切な措置を講ずることをいいます。

(6) 障がいを理由とする差別 障がいのある人に対し、不当な差別的取扱いをすること又は社会的障壁を取り除くための合理的配慮の提供をしないことをいいます。

(7) 障がいの社会モデル 障がいのある人が日常生活又は社会生活において受ける制限は、障がいのみに起因するものではなく、社会的障壁と相対することによって生ずるものとする考え方をいいます。

(8) 事業者 市内に事務所を有し、又は市内で事業活動を行う個人及び法人その他の団体をいいます。

(9) 市民 市内に住所を有する者及び市内に住む者並びに市内に通勤し、通所し、及び通学する者をいいます。

(基本理念)

第3条 障がいを理由とする差別の解消は、次に掲げる事項を基本理念として推進します。

(1) 障がいのある人が、障がいのない人と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活が保障される権利を有すること。

(2) 障がいのある人が、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他のあらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること。

(3) 障がいのある人の選択や意思が尊重されるよう、必要な支援に取り組むこと。この場合において、性別、年齢その他の要因により特に困難な状況に置かれている場合には、その状況に応じた適切な配慮がなされること。

(4) 障がいのある人は、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段及び情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会が可能な限り確保されるとともに、意思決定について必要な支援が受けられること。

(5) 障がいを理由とする差別は、障がい及び障がいのある人に関する理解の不足又は偏見から生じることから、多様な人々により地域社会が構成されているという基本認識のもとに、事業者及び市民が、障がいの社会モデルに関する理解を深めることを基本として推進すること。

(6) 障がいのある人もない人も、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互の違いを理解し、互いにその人格と個性を尊重すること。

(7) 社会的障壁の除去及び合理的配慮の提供は、障がいの有無にかかわらず、全ての市民にとって有益であることを認識し、共生社会の実現に向け相互に協力すること。

(市の責務)

第4条 市は、基本理念にのっとり、障がいを理由とする差別の解消の推進及び共生社会の実現に関する施策を実施するものとします。

2 市は、前項の施策を実施するにあたっては、障がいのある人の意思を尊重しつつ、事業者、市民その他関係者と連携し、協力を図るものとします。

(事業者の役割)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、障がい、障がいのある人及び障がいの社会モデルに対する理解を深めるよう努めるものとします。

2 事業者は、市が実施する障がいを理由とする差別の解消に関する施策に協力するとともに、障がいを理由とする差別の解消の推進に取り組むよう努めるものとします。

(市民の役割)

第6条 市民は、基本理念にのっとり、障がい、障がいのある人及び障がいの社会モデルに対する理解を深めるよう努めるものとします。

2 市民は、市が実施する障がいを理由とする差別の解消に関する施策及び事業者が実施する障がいを理由とする差別の解消の推進に関する取組に協力するよう努めるものとします。

第2章 障がいを理由とする差別の解消

(不当な差別的取扱いの禁止)

第7条 何人も、障がいのある人に対し、福祉、医療、教育、雇用、居住、交通、商業その他の障がいのある人の日常生活又は社会生活において、障がいを理由とする不当な差別的取扱いをすることにより、障がいのある人の権利利益を侵害してはなりません。

(合理的配慮の提供)

第8条 市は、その事務又は事業の実施にあたり、障がいのある人が社会的障壁の除去を必要としていることを認識できる場合に、社会的障壁の除去の実施について、合理的な配慮を行わなければなりません。

2 事業者は、その事業の実施にあたり、障がいのある人が社会的障壁の除去を必要としていることを認識できる場合に、社会的障壁の除去の実施について、合理的な配慮を行わなければなりません。

3 市民は、障がいのある人が社会的障壁の除去を必要としていることを認識できる場合に、社会的障壁の除去の実施について、合理的な配慮を行うよう努めなければなりません。

第3章 障がいを理由とする差別に関する相談及び解消のための対応

(相談)

第9条 障がいのある人、その家族その他の関係者又は事業者(次項において「相談者」という。)は、市又は市が委託する相談機関(以下「相談機関」という。)に対し、市内で発生した障がいを理由とする差別に該当すると思われる事案(以下「差別事案」という。)に関する相談をすることができます。

2 市又は相談機関は、差別事案に関する相談があったときは、相談者又は当該相談内容に関わる者に対し、事実の確認を行うとともに、必要に応じて、情報提供、関係機関との連絡調整、他機関への取次ぎを行い、解決を図ります。

(助言又はあっせんの申立て)

第10条 障がいのある人、その家族その他の関係者は、前条第2項の規定による対応の後もなお解決されない場合は、市長に対し、差別事案を解決するために必要な助言又はあっせんの申立て(以下「申立て」という。)をすることができます。

2 前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当するときは、申立てをすることができません。

(1) 申立てをすることが当該障がいのある人の意に反すると認められるとき。

(2) 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)による紛争の解決の手続をすることができるとき。

(3) 行政不服審査法(平成26年法律第68号)その他の法令に基づく不服申立ての手続をすることができるとき。

(4) 申立ての原因となる事実のあった日(継続する行為にあっては、その最後の行為の終了した日)から3年を経過しているものであるとき(その間に申立てをしなかったことにつきやむを得ない理由があるときを除く。)

(調査)

第11条 市長は、前条の申立てがあった場合は、その申立てに係る事実について調査を行い、又は相談機関に必要な調査を行わせることができます。

2 前項の調査の対象となる者は、正当な理由があると認める場合を除き、同項の調査に協力しなければなりません。

(助言又はあっせん)

第12条 市長は、前条第1項の調査の結果、必要があると認める場合は、見附市障がいを理由とする差別解消のための調整委員会(以下「調整委員会」という。)に対し、助言又はあっせんを行うことについて、意見を求めるものとします。

2 調整委員会は、助言又はあっせんのために必要があると認めるときは、当該差別事案の関係者に調整委員会への出席を求め、意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができます。

3 市長は、調整委員会の意見を尊重し、差別事案の関係者に対し助言又はあっせんを行うものとします。

(勧告及び公表の措置)

第13条 市長は、前条第3項の規定により助言又はあっせんを行った場合に、差別を行ったと認められる者が正当な理由なくその助言やあっせんに従わず、勧告することが相当と判断するときは、これらに従うよう勧告することができます。

2 市長は、前項の規定による勧告を受けた者が、正当な理由なく当該勧告に従わなかった場合は、その旨を公表することができます。

3 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表の相手方に対してその旨を通知し、かつ、その者に対して意見を述べる機会を与えなければなりません。ただし、これらの者が正当な理由なく意見の聴取に応じない場合は、意見の聴取を行わずに公表することができます。

(調整委員会の設置等)

第14条 市は、差別にかかる紛争の解決を図ることを目的として、調整委員会を設置します。

2 前項の調整委員会の運営に関し必要な事項は、規則で定めるものとします。

第4章 共生社会の実現に向けた取組

(周知啓発の実施)

第15条 市は、事業者及び市民が、障がい、障がいのある人及び障がいの社会モデルに対する理解を深め、障がいを理由とする差別を解消し、共生社会の実現が図られるよう、広報活動、啓発活動その他必要な取組を推進するものとします。

(教育の取組)

第16条 市は、共に学び育ちあう教育の重要性を考慮し、幼児、児童、生徒が障がい及び障がいのある人に対する理解を深められるよう、必要な取組を推進するものとします。

(交流機会の創出)

第17条 市は、障がいのある人と障がいのない人の相互理解を促進するため、一緒に活動し、交流する機会の創出又は拡大が図られるよう、必要な取組を推進するものとします。

(意思疎通)

第18条 市は、障がいのある人が情報を円滑に取得し、又は理解しやすくするため、点字、平易な表現等の障がいの特性に応じた多様な意思疎通手段の普及を図るとともに、必要な取組を推進するものとします。

2 市は、見附市手話言語条例(平成29年条例第20号)により、手話への理解及び手話の普及の促進を図るものとします。

(協議会の設置)

第19条 市は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)第17条第1項の規定に基づき、見附市障害者自立支援協議会(以下「協議会」という。)を設置します。

2 協議会は、次に掲げる事項について協議を行います。

(1) 差別を解消するために必要な取組の検討及び提言に関する事項

(2) 差別を解消するために必要な施策の実施状況の確認及び見直しの提言に関する事項

(3) 差別を解消する取組を効果的かつ円滑に行うために必要な事項

3 協議会は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第89条の3に基づく協議会を兼ねるものとします。

第5章 雑則

(委任)

第20条 この条例に定めるもののほかこの条例の施行に関し必要な事項は、別に定めます。

(施行期日)

この条例は、令和7年4月1日から施行します。

見附市障がいを理由とする差別のないだれもが共に暮らせるまちづくり条例

令和7年3月21日 条例第2号

(令和7年4月1日施行)