○見附市手話言語条例

平成29年12月19日

条例第20号

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に関する基本理念を定め、市の責務と市民、地域コミュニティ及び事業者の役割を明らかにすることにより、市民の手話への理解及び手話の普及の促進を図るとともに、手話の使いやすい環境を構築することで、全ての市民が共に生きる共生社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 「ろう者」とは、日本手話を第一言語として、日常生活又は社会生活を営む上で、日本手話を主なコミュニケーション手段として用いている聴覚に障がいをもつ者をいう。

(2) 「難聴者・中途失聴者」とは、日本語を第一言語として、日常生活又は社会生活を営む上で、手指日本語及び筆談等を主なコミュニケーション手段として用いている聴覚に障がいをもつ者をいう。

(3) 「盲ろう者」とは、日常生活又は社会生活を営む上で、触手話、指文字等を主なコミュニケーション手段として用いている者であって、耳が聞こえない、目が見えないという障がいを合わせもつものをいう。

(4) 「手話」とは、ろう者が用いる日本手話及び難聴者・中途失聴者が用いる手指日本語のことをいう。

(5) 「日本手話」とは、手指の形及び動き並びに文法的な意味がある非手指の動きにより表現し、視覚的に理解する言語であり、日本語とは異なる文法体系を有するものである。

(6) 「手指日本語」とは、音声言語である日本語に、日本語の語順通りに手話単語を一語一語当てはめた手と指を使った日本語である。

(7) 「要約筆記」とは、主に難聴者・中途失聴者の意思疎通の支援の際に用いられる意思疎通手段であって、話し言葉を要約し、筆記、パソコン等を使い文字で表現するものである。

(8) 「手話通訳者」とは、聴覚に障がいをもつ者と聴覚に障がいをもたない者の間で、手話を使い、相互のコミュニケーションの仲介を行う者で、手話通訳者全国統一試験に合格した者をいう。

(9) 「市民」とは、市内に在住し、又は通勤し、若しくは通学する個人をいう。

(10) 「地域コミュニティ」とは、おおむね一つの小学校区を活動の範囲とし、当該地域内の全ての町内会を構成団体に含み、市が認める団体をいう。

(11) 「事業者」とは、市内に事業所を置き事業活動その他の活動を行なうものをいう。

(手話の意義)

第3条 手話は、ろう者、難聴者・中途失聴者及び盲ろう者(以下「ろう者等」という。)が、自ら生活を営む上で使用している独自の文法体系を持つ言語であり、豊かな人間性を養い育て、知的かつ心豊かな生活を送るための言語活動の文化的所産である。

(基本理念)

第4条 ろう者等を含む全ての市民は、人格と個性を尊重し合いながら共生することを基本として、より豊かな生活及び人間関係を築くため、手話の普及に努め、手話によるコミュニケーションを円滑に図る権利を尊重していかなければならない。

(市の責務)

第5条 市は、前条に定める基本理念に基づき、ろう者等が日常生活及び社会生活を円滑に営むために必要な配慮を行い、手話を使いやすい環境にするための施策を推進するものとする。

(市民の役割)

第6条 市民は、基本理念に基づき、手話への理解を深め、ろう者等と心を通わせながら、市が推進する手話に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(地域コミュニティの役割)

第7条 地域コミュニティは、基本理念に基づき、手話への理解を深め、地域の人々と心を通わせながら地域の絆を築き、市が推進する手話に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第8条 事業者は、基本理念に基づき、手話への理解を深め、自らが社会の一員であることを認識して、ろう者等が利用しやすいサービスを提供するよう努めるとともに、市が推進する手話に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(方針の策定)

第9条 市は、次に掲げる事項を総合的かつ計画的に推進するための方針を策定するものとする。

(1) 手話への理解及び手話の普及に関すること。

(2) 手話による情報の発信及び取得に関すること。

(3) 手話による意思疎通の支援に関すること。

(4) 手話通訳者の確保及び充実に関すること。

(5) 手話通訳者としての資質向上に関すること。

(6) 前各号のほか、この条例の目的を達成するために必要な施策に関すること。

2 市は、前項に規定する方針の策定に当たっては、障がい者の福祉に関する計画等との整合を図るものとする。

(手話を学ぶ機会の確保)

第10条 市は、ろう者等、手話通訳者及び手話を使用することができる者と協力し、市民が手話を学ぶ機会の確保を図るものとする。

(学校における手話の普及)

第11条 学校の設置者は、学校において手話を必要とする幼児、児童、生徒又は学生がいる場合に、必要な手話に関する支援を受けられるよう努めるものとする。

2 市は、幼児教育及び学校教育において、手話及びろう者等への理解及び手話の普及を図るために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(医療機関における手話の啓発)

第12条 医療機関の開設者は、ろう者等が手話を使用しやすい環境の整備に努めるものとする。

2 市は、医療機関において、ろう者等が手話を使用しやすい環境となるよう手話通訳者を派遣する制度の周知その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(緊急時及び災害時の対応)

第13条 市は、緊急時及び災害時において、ろう者等に対し、情報の取得及び意思疎通の支援に必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(財政上の措置)

第14条 市は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(その他の意思疎通支援の推進)

第15条 市は、手話、要約筆記その他の意思疎通支援を活用し、ろう者等の特性に応じた、円滑な意思疎通支援に必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、公布の日から施行する。

見附市手話言語条例

平成29年12月19日 条例第20号

(平成29年12月19日施行)