○見附市こども・子育てどまんなか条例

令和6年3月21日

条例第2号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 地域社会等の役割(第4条―第8条)

第3章 こども・子育てを支える環境づくり(第9条―第14条)

第4章 こども・子育てを支える施策の推進(第15条―第19条)

第5章 雑則(第20条)

附則

全てのこどもは、見附市の明日への活力と喜びにつながる地域の宝であり、一人ひとりが様々な個性や能力、大いなる可能性を持ったかけがえのない存在です。

こどもは、おとなと同様に権利の主体として尊重され、基本的人権や児童の権利に関する条約の4つの原則「差別の禁止」「こどもの最善の利益」「生命、生存及び発達に対する権利」「こどもの意見の尊重」等が保障されなければなりません。また、こども自身がその権利について自覚し、自分の存在に自信と誇りを持つことが大切です。そして、自分の権利が守られることで、全ての人の権利が自分と同じように守られることを理解できるようになります。

おとなは、こどもが権利を保障され、社会の一員として自分の意見を自由に表明することができる存在であることを理解し、こどもに伝えていくことが必要です。こどもの権利について、こども自身を含めて、市民全員が共通認識を持つことが大切です。そして、こどもを独立した権利の主体として尊重し、その意見を受けとめ、大切にし、こどもにとって何が最も良いことなのかを考え、自立に向けて成長を支えていくために、こどもに関する取組や施策を強く進めていく必要があります。

見附市ではこれまでも、学校と家庭、地域の連携を強化し、地域の人材と資源を活かして教育の質の向上を図る「共創郷育」の理念のもとで、おとなが総がかりでこどもの育ちを支える取組を推進してきました。

改めて、こどもの権利や子育て支援の基本理念を示すことで、市民全員が子育てへの関心をさらに高め、こども・子育てを社会の「どまんなか」におきながら、保護者、行政はもとより、地域、事業者等社会全体でこどもや子育てを支え、こどもが「見附市に育ってよかった」と誇りを持ち、子育て世代が「見附市に住みたい、住んでよかった」と思えるまちの実現を目指して条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、本市のこども・子育て支援及び地域社会全体でこども・子育てを応援するための基本理念を定め、市、保護者、市民、学校等及び事業者の役割を明らかにするとともに、こども・子育て支援施策の基本となる事項を定めることにより、こども・子育て支援に関する施策を総合的に推進し、もって「みんなで子育て こどもどまんなか 笑顔かがやくまちみつけ」の実現に寄与することを目的とします。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによります。

(1) こども 心身の発達の過程にある者をいい、こども・子育て支援施策の対象となるこどもの範囲は、施策ごとに定めるものとします。

(2) 保護者 父母等の親権を行う者、未成年後見人その他の者で、こどもを現に監護する者をいいます。

(3) 市民 市内に住所を有する者、市内に住む者、市内で働き又は学ぶ者をいいます。

(4) 学校等 学校、保育園、認定こども園、その他児童福祉施設等の施設をいいます。

(5) 事業者 市内に事務所を有し、又は市内で事業活動を行う個人、法人又は団体をいいます。

(基本理念)

第3条 こども・子育て支援施策は、次に掲げる事項を基本理念として、地域社会全体で推進するものとします。

(1) 全てのこどもについて、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、差別的取扱いを受けることがないようにする等、日本国憲法、児童の権利に関する条約、こども基本法(令和4年法律第77号)及び児童福祉法(昭和22年法律第164号)の精神にのっとり、こどもの有する権利を尊重し、擁護すること。

(2) 全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会及び多様な社会的活動に参画する機会を確保し、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮すること。

(3) 希望する誰もが安心してこどもを生み育てることができ、その成長に喜びを実感できる環境を確保すること。

(4) 市、保護者、市民、学校等及び事業者が、それぞれの役割を認識し、こども・子育て支援に主体的に取り組むとともに、相互に連携・協働して行うこと。

第2章 地域社会等の役割

(市の役割)

第4条 市は、こども・子育て支援に関する総合的な施策を実施します。

2 市は、保護者、市民、学校等及び事業者がそれぞれの役割を果たすことができるよう、必要な支援及び調整を行います。

(保護者の役割)

第5条 保護者は、こどもの権利について理解し、家庭がこどもの心身の成長や人格形成に基本的な役割を果たすことを認識し、こどもが心身ともに安らぐことができる家庭づくりに努めるものとします。

2 保護者は、こどもが社会生活を営む上での基礎的な生活習慣を身につけることができるように、年齢及び成長に応じて、愛情をもって子育てするよう努めるものとします。

(市民の役割)

第6条 市民は、地域のこどもに関心を持ち、地域においてこどもと積極的に交流し、地域との関わりの中で健やかに育つ環境づくりに努めるものとします。

2 市民は、こどもの育ちを支援する取組に協力し、こども・子育てを応援するよう努めるものとします。

(学校等の役割)

第7条 学校等は、こどもが集団生活及びその他の活動を通じて、自分の権利及び他人の権利を尊重することを学び、確かな学力、豊かな心、健やかな体等が調和した生きる力を身に付けることができるよう努めるものとします。

2 学校等は、こどもと地域とのつながりの拠点の一つとして、家庭及び地域と積極的に交流・協働するよう努めるものとします。

(事業者の役割)

第8条 事業者は、職場で働く保護者が仕事と子育てを両立できるよう、就労環境の整備に努めるものとします。

2 事業者は、こどもの育ちを支援する取組に協力し、こども・子育てを応援するよう努めるものとします。

第3章 こども・子育てを支える環境づくり

(こどもが健やかに育つための支援)

第9条 市は、こどもが健やかに育つための支援を行うとともに、保護者、市民、学校等、事業者、国、県及びその他関係機関と連携・協働し、次に掲げる施策を実施するものとします。

(1) こどもが自然や文化、地域社会との関わりの中で様々な経験や多世代との交流ができる機会の提供

(2) 犯罪、交通事故その他こどもの健全な成長を阻害する危険等からこどもを守り、こどもが安全に、かつ、安心して過ごすことができる環境の整備

(3) こどもが遊び、学び、活動できる居場所や施設の整備

(保護者や子育て家庭への支援)

第10条 市は、市民、学校等、事業者、国、県及びその他関係機関と連携・協働し、保護者が安心して子育てをすることができるようニーズに応じた幅広い支援を行います。

2 市は、子育てに関して困難を抱えている保護者や家庭の把握に努めるとともに、それぞれの家庭の状況に応じた支援を行います。

3 市は、働く保護者が子育てと仕事の両立ができるよう、保育サービス等の充実や、事業者に対して、子育てとの調和のとれた働き方等の啓発を図ります。

(支援を必要とするこどもへの支援)

第11条 市は、障がい、虐待、いじめ、不登校、経済的困難等を理由とした支援を必要とするこどもに対し、こどもの状況及び置かれた環境に応じた支援を行います。

2 市は、虐待、いじめ等の防止、早期発見及び迅速な対応に必要な施策を行います。

(相談体制)

第12条 市は、こども及び保護者が抱える様々な悩みに対して、安心して相談できる相談支援体制の充実を図ります。

(こどもの社会参加)

第13条 市は、市の施策についてこどもが意見を表明することができるようにする等、こどもが社会参加をする場や機会を設けるものとします。

(切れ目のない支援)

第14条 市は、市民が安心してこどもを生み育て、こどもが健やかに育つことができるよう、結婚、妊娠、出産及びその後の子育てにおける様々な段階や状況に応じて、必要な施策を実施します。

第4章 こども・子育てを支える施策の推進

(計画の策定)

第15条 市は、こども・子育て支援施策についての計画(以下「計画」という。)を策定します。

2 市は、計画の策定に当たっては、こども及び保護者その他の関係者の幅広い意見を聴くとともに、その意見を反映させるために必要な措置を講じます。

(実施状況の評価)

第16条 市は、計画の適正な進行管理を行うため、施策の実施状況を評価し、その結果に基づき必要な措置を講じます。

(推進体制の整備)

第17条 市は、計画に基づく施策の総合的な推進及び調整を図るため、必要な体制を整備します。

(財政上の措置)

第18条 市は、こども・子育て支援施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとします。

(広報及び啓発)

第19条 市は、こども・子育て支援について、こども、保護者、市民、学校等及び事業者の関心や理解を深めるため、広く広報及び啓発を行います。

第5章 雑則

(委任)

第20条 この条例の施行に関して必要な事項は、別に定めます。

この条例は、令和6年4月1日から施行します。

見附市こども・子育てどまんなか条例

令和6年3月21日 条例第2号

(令和6年4月1日施行)